過去から受け継がれるテロワールと価値観を、未来へ繋ぐ年子の姉妹、プイィ・フュメのテロワールの代弁者
ドメーヌはロワール川右岸、プイィ・フュメの中心地プイィ・シュール・ロワールの町から北へ3キロ、葡萄畑に囲まれたサン・タンドランの小さな集落にある。ドメーヌ設立当初は小麦畑なども耕作する複合農業を営んでおり、現在のワイナリーも納屋だった建物が一部利用されている。初代が購入した土地に7haの葡萄を植え、ドメーヌとして規模を拡大したのは2代目である。3代目セルジュに男子はなく4代目当主は年子の姉妹が務める。現在はワイン専業で18haを所有し、0.75haのシャスラー種(プイィ・シュール・ロワールのアペラシオン)を除いて、ソーヴィニョン・ブランからプイィ・フュメを生産している。フルタイムの従業員4名を抱えているが、基本的に栽培から販売まで家族で行いたいためこれ以上ドメーヌの規模を大きくするつもりはない。父セルジュからドメーヌを任されている年子の姉妹、おっとりとした姉フローランスはボーヌの農業学校で、男勝りの妹ヴァレリーはマコンのワイン農業学校で学んだ。特に分担も決めず、家族全員で協力して運営しているほのぼのとしたドメーヌだ。
シレックスを多く含むテール・ブランシュ(白い土)と呼ばれる粘土石灰質の下に泥土キンメリジャンが広がる土壌から、ミネラル豊富なワインが生まれる。サンセールに比べると標高がやや低い位置に広がるプイィ・フュメのアペラシオンは、ロワール川の谷間にあるため、通年を通して冷たい風から避けられる環境にあり、夏は非常に気温が高くなるためふくよかなワインが生まれる。
ダグノー家は、近隣の奇才ディディエ氏の親戚にあたる。地元では、一般愛好家向けのインパクトの強いワインがディディエならば、プロ向けのオーソドックスな正統派ワインはセルジュとされる。