男性的バローロ最高峰のセッラルンガの最上クリュ“バダリーナ”に加えて、女性的バローロの最高峰クリュの一つ“アンブロージョ”も所有する、贅沢な両極のバローロを産む名手。徹底した自然栽培と、画一的なスタイルにこだわらぬ醸造により、偉大な各クリュのテロワールを引き出す。
女性当主ブルーナ・グリマルディ氏が1990年から3代目を務める、約100年の歴史を誇る15haのカンティーナ。そこで造られるワインは、典型的なクラシックスタイルながら、⾧期大樽熟成による酸化型バローロにありがちな苦味や果実の平坦さなど微塵もない。ピュアで力強く気品があり、時に近づきがたい威厳さえも伴う大地の偉大なエネルギーを感じさせる1本を生み出す。
同家のワインでも特筆すべきは、バローロ11村の中で最も力強く堅固で男性的なセラルンガ・ダルバ村で、最も標高が高く最高峰の一角とされるMGA(認定ソットゾーナ)「バダリーナ」を持つこと、更にバダリーナ内でも別格とされる小区画“レ・ニョーラ”から単一畑のみによるレゼルヴァを生み出すことである。同じく単一区画“クリュ”でリリースするブリッコ・アンブロージョは、女性的バローロの代名詞としてバダリーナの真逆の個性をもつ。
醸造は「⾧期のマセラシオン(25~35日)と大樽による⾧期熟成」を行うため、大きな括りでいえばクラシック型の造り手であるが、各クリュの個性や品種の個性に合わせて10~20日の短期マセラシオンを行ったり、大樽にフランス産トノー(500~700L)を組み合わせた熟成も行うなど、「モダン/クラシック」という型に拘わっているわけではない。
彼らが拘るのは、先祖から受け継ぐ各クリュのテロワールの個性を最大限に表現すること追求するために適切な醸造を選ぶことであり、「テロワール・クラシック派」と呼ぶべき造り手である。ワイナリーブルーナ・グリマルディは“Barolo di Terroir”の旗手にしてトップ・ランナーであり、それは⾧年、時代の流れや流行に流されることなく貫いてきた、グリマルディ家の哲学そのものである。