ヴァイヨン、コート・ドゥ・レシェといったシャブリ・スラン川左岸の名だたる1級を造らせれば、右に出る者のない造り手として名高いのが、ここドメーヌ・ダニエル・ダンプ。ヴァイヨンとコート・ドゥ・レシェの2つの著名な1級の丘に挟まれた古く目立たぬミリー村に居を構える。ミリー村で最も古い歴史と名声を誇ってきたのがドゥフェー家で、その名声は1800年代前半にまで遡れる。そしてダニエル・ダンプは、この名門ドゥフェー家の正統なる系譜を踏む。
ダンプ氏の義理の父がドゥフェー氏で、ダニエル氏は妻との結婚後、1年間醸造と畑について学校で学び、'86年からごく僅かな畑を元にドメーヌを設立、当主となった。それから徐々に畑を譲り受け、今日では25haの地所を構えている。現在でも「ジャン・ドゥフェー」はセカンドラベル的なドメーヌ名としてダニエル・ダンプ氏が醸造を行っている。冷害があれば全ての収穫を失う事すらあるシャブリの地において、ワイン造りがこれだけコンスタントになったのは、村に恒常的に暖房が整えられた'50年代以降、つまりほんの50年前のことだった。 更に今の繁栄の片鱗が見え始めるのは、ボトリング機械の普及や輸出市場の開拓が始まった'70年代以降である。冷害、第2次大戦といった過酷な環境の中、多くの人々が離農し葡萄栽培はほとんど行われなくなったが、'60年代にミリー村にいち早く0.5haの葡萄畑を復活させたのがジャン・ドゥフェー氏だった。近代シャブリの黎明期に、スラン川左岸でいち早くシャブリを復活させたドゥフェー氏。その遺した絶好の区画から'89年に新しく造られたセラーで、クリーンで果実味とミネラルの溢れる典型的なシャブリの伝統を守りつづけている。 |